トラックのエンジン警告灯が点灯したら?種類・原因・対処法を一覧で解説
トラック市本部
「走行中にエンジン警告灯が突然点灯した」「どの警告灯が緊急でどれが後回しにできるのかわからない」――そんな不安を抱えているトラックドライバーや運行管理者の方は少なくありません。乗用車と異なり、トラックはメーカーや車種によって警告灯の種類や意味が異なるうえ、放置すると重大な故障や事故につながるリスクがあります。この記事では、トラックのエンジン警告灯の種類と意味を一覧で整理し、点灯した際の原因と具体的な対処法をわかりやすく解説します。中古トラックをご購入後の方や、日常的に運行管理をされている方にも役立つ内容です。
トラックの警告灯とは?メーターパネルの基本を知ろう

警告灯・表示灯・確認灯の違い
自動車のインパネ(計器盤)にあるランプは、その役割によって大きく3つに分類されます。1つ目は『警告灯』で、車両の重大な故障や安全上の危機を知らせる赤や黄色のランプです。2つ目は『表示灯』で、ウインカーやライトの点灯状態、フォグランプの作動など、現在の機能作動状況を知らせるものです。3つ目は『確認灯』で、シートベルト非着用やドアが半開きの状態など、ドライバーに特定の注意や確認を促す目的で点灯します。それぞれの意味を正しく理解し、慌てずに対処できるようにしましょう。
トラックと乗用車で警告灯が異なる理由
トラックは乗用車と異なり、最大積載量の大きな荷物を運ぶ過酷な環境で使用されるため、車両にかかる負荷が非常に大きくなります。また、大型のディーゼルエンジン特有の排気ガス浄化装置(DPFや尿素SCRシステム)や高圧のエアブレーキシステム、大型車両ならではの多種多様なセンサー類が多数搭載されています。そのため、乗用車にはない独自の警告灯(排気系やブレーキの空気圧など)が多く存在し、トラブル発生時の周囲や道路への影響も大きいため、より細分化された警告システムが備わっています。
警告灯の色が意味する緊急度の違い
メーターパネルに点灯する警告灯の色は、国際規格(ISO)によって信号機と同じように緊急度が決定されています。『赤色』は重大な危険を示しており、発生した場合は『ただちに安全な場所へ停車』し、運行を中止して点検・修理を依頼する必要があります。『黄色・橙色』は注意を促すもので、即座の停車は不要な場合が多いですが、放置すると大きなトラブルにつながるため『早期の点検・整備』が必要です。『緑色・青色』は作動中を示す表示灯であり、異常ではありません。
トラックの警告灯 種類・意味 一覧
【いすゞ(エルフ・フォワード・ギガ)】
DPF(排ガス浄化装置)関連の警告灯が頻出する特徴と対応方法
いすゞのトラックでは、排ガス浄化装置は独自に「DPD」と呼ばれます。フィルター内にスス(PM)が一定量溜まると、DPD警告灯が点滅します。点滅した場合は、安全な場所に停車し、手動再生ボタンを押してススを燃焼させる必要があります。点滅を放置して走行を続けると警告灯が「点灯」に変わり、エンジン制御がかかり車速が制限されます。点灯状態になるとドライバー自身での手動再生ができなくなり、ディーラーでの修理・強制再生が必要になるため、早めの対応が不可欠です。
【日野(デュトロ・レンジャー・プロフィア)】
日野独自の警告灯の種類と意味
日野自動車のトラックには、衝突被害軽減ブレーキ「PCS(プリクラッシュセーフティ)」の警告灯や、
独自のAMT(自動変速機)である「Pro Shift(プロシフト)」関連の警告灯があります。PCS警告灯が点灯・点滅した場合は、センサーの汚れやシステムの異常が考えられます。また、ドライバーの異常を検知する「EDSS(ドライバー異常時対応システム)」の作動灯・警告灯なども独自の安全機能として表示されます。
DPR(排ガス浄化装置)警告灯の特徴と対応方法を記載
日野の排ガス浄化装置は「DPR」と呼ばれます。インジケーターランプが点滅した段階で、安全な場所に停車しDPR手動再生スイッチを押す必要があります。日野の場合も、点滅を無視して走行を続けるとインジケーターランプが「点灯」に切り替わり、エンジン制御がかかり手動再生が不可能になります。点灯したまま走行を続けると致命的な故障に繋がる可能性があるため、点滅が始まったら後回しにせず、速やかに手動再生を行うことが重要です。
【三菱ふそう(キャンター・ファイター・スーパーグレート)】
アドブルー(尿素水)残量警告灯の特徴と対応方法
三菱ふそうのトラックでは排ガス浄化にアドブルー(尿素水)を使用する「BlueTec」システムを採用しています。アドブルーの残量が少なくなると警告灯が点灯・点滅し、ディスプレイに補充を促すメッセージが表示されます。完全に空になると、エンジンの再始動ができなくなる、またはエンジン出力が大幅に制限される仕様になっているため、警告が出たら速やかに指定のアドブルーを補充する必要があります。
三菱ふそう独自の安全装置に関する警告表示を記載
三菱ふそうは先進的な安全装置に力を入れており、「ABA(アクティブ・ブレーキ・アシスト)」などの独自の警告表示があります。特に「アクティブ・サイドガード・アシスト」は、走行中に左側の歩行者や自動車を感知すると、助手席側ピラーにあるランプが黄色に点灯し、衝突の危険がある場合は赤色点灯やブザーでドライバーに警告する独自の表示方法を採用しています。また、「アクティブ・アテンション・アシスト」による注意力低下の警告表示もディスプレイに表示され、安全運転を補助します。
【UD(コンドル・クオン)】
液晶ディスプレイにエラーコードが表示される仕様の説明
UDトラックスの車両は、メーターパネル中央にある
マルチディスプレイ(液晶ディスプレイ)に、
車両の状態や不具合が直接メッセージや「エラーコード」として 表示される仕様が特徴です。
警告灯の点灯と合わせて、具体的なシステム異常が英数字のエラーコードで表示されるため、
車両のどこにどのような不具合が起きているかを視覚的に特定しやすくなっています。
取扱説明書と照らし合わせた確認方法を記載
液晶ディスプレイにエラーコードや見慣れない警告マークが表示された場合は、
必ず車両の取扱説明書(マニュアル)を開き、表示されているコードと照らし合わせてください。
マニュアルには「ウォッシャー液の補充や手動再生など、ドライバー自身で対応可能なもの」か、
「直ちにディーラーや整備工場での点検が必要な重大な故障」かが明記されています。
エラーコードをもとに自己判断せず、取扱説明書の指示に従って適切な処置を行うことが重要です。

赤色警告灯(即停車が必要なもの)
赤色警告灯が点灯・点滅した場合は、ただちに安全な場所にトラックを停車させてください。代表的なものには、エンジンオイルの圧力低下を示す『油圧警告灯(オイルランプ)』、発電系統の異常を知らせる『充電警告灯(バッテリーランプ)』、ブレーキフルードの不足やエア圧低下を伝える『ブレーキ警告灯』、エンジン過熱を示す『水温警告灯(オーバーヒート)』などがあります。これらを無視して走行を続けると、エンジン焼き付きやブレーキ不作動といった致命的な大事故を招く恐れがあります。
黄色・橙色警告灯(要注意・早期点検)
黄色や橙色の警告灯は「すぐに止まる必要はないが、速やかに点検が必要」というサインです。エンジン制御システム全体の不具合を検知した際に点灯する『エンジン警告灯』をはじめ、ABS(アンチロック・ブレーキ・システム)の作動不良、燃料が残り少なくなったことを示す『燃料残量警告灯』などがあります。自走は可能ですが、エンジンの出力制限がかかったり、安全装置が働かなくなったりする場合があるため、その日の運行終了後や近隣の整備工場へ早めに持ち込むように手配してください。
その他の特殊警告灯(排気・DPF系など)
トラック独自の特殊な黄色・橙色警告灯として最も重要なのが『排気ガス処理装置(DPF・DPR・DPD)警告灯』です。これはマフラー内のススが溜まった際に点灯し、手動再生(焼き切り作業)を促すものです。点滅を放置すると走行中にエンジンが出力制限され、最悪の場合はマフラー交換などの高額修理になります。また、尿素SCRシステムを搭載した車両では、アドブルー(尿素水)の残量が低下した際にも警告灯が点灯します。アドブルーが完全に切れるとエンジンの再始動ができなくなるため、早めの補給が必要です。
エンジン警告灯が点灯する主な原因

センサー・電気系統の不具合
現代のトラックは数多くの高度な電子制御センサーで管理されています。エンジン警告灯が点灯する原因として非常に多いのが、排気ガス中の酸素濃度を測る『O2センサー』や、吸入空気量を測る『エアフローメーター』、排気温度センサーといった「センサー自体の故障や電気系統の断線・接触不良」です。部品そのものは小さくても、これらが正常な数値をコンピューターに送れなくなると、車両が安全のためにセーフモード(出力制限)に入り、警告灯が点灯する仕組みになっています。
ECU・アクチュエーターの不具合
【ECU(電子制御ユニット)の不具合】
ECUとは何か・どのような役割を持つか
ECU(Electronic Control Unit)とは、車にとっての「頭脳」にあたるコンピューターです。各センサーから送られてくる車両のデータ(空気量、温度、排気ガスの状態など)を瞬時に計算し、エンジンの燃料噴射量や点火タイミングなどを最適な状態に制御する非常に重要な役割を持っています。
ECUの不具合が警告灯点灯につながる仕組み
ECU内部の電子基板のショートや断線といった「内部エラー」、プログラムのバグによる「ソフトウェア異常」、あるいはバッテリーやオルタネーターの不具合に起因する「電圧不安定」などが起きると、システムが正常に機能しなくなります。その結果、ECU自身が異常を検知、または誤作動を起こしてエンジン警告灯を点灯させます。
ECU不具合の症状と診断
ECUの不具合は、エンストやアイドリングの乱れなどを引き起こすことがありますが、外見やエンジンルームを目視しただけでは故障箇所を判断することができません。そのため、不具合を特定するには、ディーラーや整備工場で専用の診断機(スキャンツール)を車両に接続し、内部のエラーコードを読み取って解析する必要があります。
ECU交換費用の目安
ECUは精密機器であるため、交換費用は高額になる傾向があります。車種や車両タイプごとの一般的な費用目安は以下の通りです。
| 車種・車両タイプ | 交換費用の目安 | 備考 |
| 一般的な乗用車 | 約5万円 〜 10万円程度 | 車種や部品の仕様により変動します。 |
| トラック・高級車・ハイブリッド車 | 約10万円 〜 20万円以上 | 高度な制御が求められるため、部品代が高額になるケースが多いです。 |
※上記はあくまで目安であり実際の費用は
メーカー、車種、部品の供給状況(新品かリビルト品か)などによって大きく変動する場合があります。
アクチュエーターとは何か・どのような役割を持つか
アクチュエーターとは、ECUからの電気的な指令を受け取り、実際に「物理的な動き(機械的作動)」へと変換する駆動装置のことです。エンジン周りでは、燃料を噴射する「インジェクター」や、空気の吸入量を調整する「スロットルバルブ」、排気ガスを再循環させる「EGRバルブ」などがこれに該当します。
アクチュエーター不具合が警告灯点灯につながる仕組み
長期間の使用による「経年劣化」や、内部部品の「摩耗」、カーボンの蓄積による「バルブの開閉不良」などが発生すると、アクチュエーターは正常に動けなくなります。ECUが指令を出しているにもかかわらず指定通りの動き(作動)が確認できない場合、ECUが矛盾や異常を検知してエンジン警告灯を点灯させる仕組みになっています。
不具合が進行した場合の症状
アクチュエーターの不具合が進行すると、単に警告灯が点くにとどまりません。エンジンルームからの異常な音(異音)、エンジンのパワーが出なくなる(出力低下)、アクセルを踏み込んでも加速が鈍くなる(レスポンス悪化)といった明らかな走行トラブルが現れます。放置すると走行不能に陥る危険もあるため、症状を感じたら早急な点検が必要です。
エンジン・排気系のトラブル
センサー類だけでなく、エンジン本体や排気システムそのものの物理的なトラブルも原因になります。例えば、燃料噴射装置(インジェクター)の詰まりによる異常燃焼、過給機(ターボチャージャー)の不具合、プラグ類の劣化、またEGR(排気再循環)バルブへのカーボン固着などが挙げられます。これらの不具合が起きると、エンジンの振動が大きくなったり、加速が鈍くなったり、黒煙や白煙が出るといった明らかな異変が伴うことが多いため、異音や体感の違和感にも注意を払う必要があります。
中古トラックで警告灯が点きやすい理由
中古トラック市場で販売されている車両は、前ユーザーの使用環境やメンテナンス状況によって状態が異なります。特に走行距離が伸びている車両や年式が古い車両では、配線の経年劣化によるショートや接触不良、各種センサーへの汚れ(カーボンやスラッジ)の堆積、ゴム類の硬化によるエア漏れなどが起きやすくなっています。購入直後であっても、長期間動かされていなかった車両は、乗り始めてからセンサーが急に作動して警告灯が点灯することがあるため、初期の挙動には特に配慮が必要です。
警告灯が点灯したときの正しい対処法

点灯直後にやるべき3つの確認
走行中に警告灯が点灯したら、まずは慌てずに次の3つのアクションを確認してください。①『警告灯の色は何色か(赤か黄色か)』を確認し、緊急度を判断します。②『エンジンから異音や異常な振動がないか、水温計が上がっていないか』など、体感できる異常が併発していないかを確認します。③安全な路肩やサービスエリアなどに『速やかにトラックを停車』させ、安全を確保した状態でハザードを焚き、メーターの表示状況を落ち着いてメモまたはスマホで写真撮影します。
走行を続けてよいケース・すぐ停車すべきケース
『黄色・橙色』の警告灯で、かつエンジンの音や加速に体感的な異変がない場合は、無理のない範囲で近くの整備工場や目的地まで低速で走行を続けても大丈夫なケースがあります。一方、警告灯が『赤色』の場合、または黄色であっても『ガタガタと異音がする』『アクセルを踏んでも進まない』『黒煙が出ている』『水温計がH(レッドゾーン)に達している』といった場合は、一刻の猶予もありません。ただちに走行を中止し、ロードサービスを手配してください。
警告灯が付いたり、消えたりする場合の対処
【原因】なぜ「ついたり消えたり」を繰り返すのか
配線の接触不良や振動による影響 走行中の「振動」によって、配線のカプラー(接続部)やアースが接触不良を起こしているケースです。特に段差を乗り越えた時や、振動の大きい車両、走行距離の長い車両で発生しやすくなります。
センサーの汚れや一時的な誤作動 排気ガスやエンジン周り、ブレーキ周りのセンサーにススや泥などの汚れが付着していると、数値を正確に読み取れず、一時的にエラーを検知して警告灯を点灯させることがあります。
液量レベル(オイル・冷却水・アドブルーなど)の変動 エンジンオイル、ブレーキフルード、アドブルーなどの液量が「規定値の下限ギリギリ」にある場合、坂道やカーブなどで車体が傾いた際に液面が揺れ、センサーが反応してランプが点滅・消灯を繰り返すことがあります。
安全な場所に停車し、警告灯の「色」と「マーク」を確認する
まずは慌てず安全な場所に停車します。赤色(危険・直ちに停止)か、黄色(警告・早期点検)かを確認してください。
どのマークが点灯したのかをメモするか、スマートフォンで撮影しておくと、後の報告や整備工場への説明がスムーズになります。
車両の挙動や異音などの自覚症状を確認する 警告灯がつくタイミングで、「エンジンの出力が落ちた」「ブレーキの効きが悪い」「異音や焦げた臭いがする」といった物理的な症状が出ていないかを確認します。少しでも異常を感じた場合は走行を控え、ロードサービスや運行管理者に指示を仰いでください。
消灯しても放置せず、専用の診断機(スキャンツール)で点検を受ける 警告灯が自然に消えたとしても、車両の頭脳であるECU(電子制御ユニット)には「過去のエラー履歴(DTC)」がしっかりと記録されています。自己判断で解決したと思い込まず、早めにディーラーや整備工場で診断機を接続し、根本的な原因を特定・修理してください。
【NG行動】やってはいけないこと
「消えたから大丈夫」と自己判断で放置すること 部品の劣化や液漏れなどの根本的な原因が解決していないため、そのまま走行を続けると突然警告灯が常時点灯に変わり、路上での立ち往生や重大な故障につながるリスクが高まります。
バッテリー端子を外してエラー表示を消去しようとすること 意図的にバッテリーのマイナス端子を外して警告灯をリセットしようとする行為は、ECUに記録された重要な「エラー履歴」まで消去してしまう恐れがあります。整備工場での正確な原因究明が困難になるため、絶対に行わないでください。
エンジン再始動で消えた場合の判断
エンジン警告灯が点灯したため一旦停車してエンジンを切り、再始動したら警告灯が消えていた――このような経験をしたドライバーも多いのではないでしょうか。しかし、「消えたから大丈夫」と自己判断して運行を続けるのは非常に危険です。ここでは、なぜ再始動で警告灯が消えるのか、そして消灯後に取るべき正しい対応について解説します。
【なぜ再始動で消えることがあるのか】
一時的なセンサーエラーや電圧低下によるリセット
エンジンを再始動した際、センサーの読み取りエラーや、始動時のバッテリー電圧の変動に起因する一時的な不具合がリセットされることがあります。これにより、システムが一時的に「正常」と判断し、表面上の警告灯を消灯させることがあります。
ECU内にエラー履歴(フォルトコード)は残る
メーターパネルの警告灯が消えたとしても、車両の頭脳であるECU(電子制御ユニット)の内部には「いつ、どのセンサーが、どのような異常を検知したか」というエラー履歴(フォルトコード)が確実に記録されています。表面上のランプが消えただけで、システム内の異常記録が消去されたわけではありません。
【再始動後に消えても必ず点検が必要な理由】
「消灯=完治」ではなく、故障の初期段階の可能性
再始動で警告灯が消えたのは、部品が直ったからではありません。センサーの汚れやアクチュエーターの経年劣化、配線の断線寸前といった「故障の初期段階」であり、症状が断続的に出ているだけの状態である可能性が極めて高いです。
放置すると再点灯や重大な故障につながるリスク
この初期サインを無視して走行を続けると、部品が完全に破損し、走行中に突然再点灯してエンジンが停止する恐れがあります。さらに、一つの部品の不具合が他の正常な部品に連鎖的なダメージを与え、修理費用が高額になる重篤な故障に発展するリスクもあります。路上故障は周囲を巻き込む事故や大きな業務的損害に直結するため、放置は厳禁です。
【再始動後の正しい対応フロー】
再始動後に警告灯が消えた場合でも、以下の基準と手順に従って慎重に行動することが求められます。
| 手順・判断基準 | 具体的な行動手順 |
| 1. 車両状態の確認(安全確保) | 再始動後、アイドリングのばらつき、異音、排気ガスの異常な色や臭い、アクセルのレスポンス低下などがないか、車両の挙動を慎重に確認します。 |
| 2. 運行管理者への報告(必須) | 警告灯が消灯し自覚症状がなくても「自己判断」は禁物です。直ちに運行管理者や拠点に「警告灯が点灯し、再始動で消灯した事実」を報告し、指示を仰ぎます。 |
| 3. 走行継続の可否判断 | 運行管理者の指示のもと、異音などの異常が全くなければ、最寄りの整備工場や拠点まで「徐行・慎重な運転」で移動します。少しでも違和感があればその場に待機し、ロードサービスを手配します。 |
| 4. 専用診断機でのエラー確認 | 拠点に戻った後、または最寄りの整備工場で、必ず専用の診断機(スキャンツール)を接続し、ECU内のエラー履歴(フォルトコード)を読み取って根本原因を特定・修理します。 |
整備工場・ディーラーに持ち込む前に伝えること
整備工場やディーラー、購入した販売店に連絡する際は、以下の内容を伝えるとスムーズです。
これらを正確に伝えることで、プロが電話口で自走可能かどうかの適切な指示を出しやすくなります。
修理費用の目安(センサー別)
エンジン警告灯が点灯した際、気になるのは修理にかかる費⽤です。原因となるセンサーや部品によって費⽤は⼤きく異なります。ここでは代表的な修理・交換費⽤の⽬安をご紹介します。
🔧 エンジン警告灯 点灯時の主な修理・交換費用目安表
| 部品・センサー名 | 故障時・警告時の主な症状 | 費用の目安(部品代+工賃など) |
O2センサー (空燃比センサー) | アイドリングが不安定になる、燃費が悪化する、マフラーから黒煙が出る | 【交換】 約 10,000円 〜 40,000円 |
エアフローセンサー (エアフローメーター) | 加速が鈍くなる、エンストしやすくなる、アイドリング不調 | 【交換】 約 10,000円 〜 30,000円 |
DPF・DPR・DPD (排ガス浄化装置) | 専用警告灯が点灯・点滅し、手動再生が必要になる。放置すると出力制限がかかり走行不能の恐れ | 【洗浄】 約 50,000円 〜 100,000円 【交換】 約 100,000円 〜 400,000円 |
| EGRバルブ | カーボン(スス)固着による作動不良により、アイドリングのばらつき、エンスト、加速不良が発生 | 【洗浄】 約 10,000円 〜 30,000円 【交換】 約 20,000円 〜 60,000円 |
インジェクター (燃料噴射装置) | マフラーからの過度な黒煙・白煙、深刻な燃費悪化、エンジンの大きな振動、出力低下 | 【交換】 約 30,000円 〜 100,000円(1気筒) ※全気筒交換で10万〜40万円以上になるケースも多い |
アドブルー (尿素水) | 残量警告の表示。※そのまま走行してタンクが空になると、エンジンの再始動ができなくなる | 【補充】 約 2,000円 〜 5,000円 (※10L程度の液剤代+補充工賃) |
【ご注意事項】
※上記の費用はあくまで一般的な目安です。車種(国産車・輸入車、普通車・大型車など)、部品の品質(純正品・リビルト品・社外品)、依頼する整備工場やディーラーによって実際の金額は大きく変動します。
※エンジン警告灯が点灯した場合は、他の重大なトラブルを引き起こす前に、速やかにプロの診断を受けることをおすすめします。
警告灯を点灯させないための日常点検ポイント
運行前点検で確認すべき箇所
日常のトラブルを防ぐためには、出発前の『運行前点検(日常点検)』が欠かせません。エンジン警告灯の点灯を未未然に防ぐため、特に確認すべきは次のポイントです。まずは『エンジンオイルの量と汚れ』。オイル不足は即座に致命的な赤色警告につながります。次に『冷却水(クーラント)の量』。リザーブタンクの液量が規定値内にあるか確認します。そして『アドブルー(尿素水)の残量』。これらがしっかり適量維持されているかを確認するだけで、運行中の突然の警告灯トラブルの大半を回避できます。
定期点検・車検時に合わせてチェックすること
3ヶ月点検や定期点検、車検のタイミングでは、目視できない電気系統やセンサー類の健康状態をチェックすることが重要です。整備工場にある『OBD2診断機(スキャンツール)』をトラックの車両コンピューターに接続してもらうことで、過去に一瞬だけ発生したエラー履歴や、センサーのわずかな機能低下を数値として読み取ることができます。これにより、運行中に突然警告灯が点灯して立ち往生するようなリスクを、事前の部品交換によって完全に予防することが可能です。
中古トラック購入後に特に注意すべき点検箇所
中古トラックを購入した後は、消耗品類がどのような周期で交換されていたか分からないケースもあるため、特に注意深い点検が必要です。具体的には、排気系トラブルの元になる『DPFマフラーの洗浄・スス溜まり具合』、燃料の不純物を取り除く『フューエルフィルター(燃料エレメント)の詰まり状況』、および『バッテリーの電圧・オルタネーター(発電機)の出力状態』の3点です。納車後最初の数ヶ月はこれらを重点的にショップや整備工場でチェックしてもらうと、長く安心して稼働させられます。
よくある質問(FAQ)
Q1. エンジン警告灯が黄色に点灯した場合、すぐに停車する必要はありますか?
黄色の点灯・点滅(注意)
ただちに走行不能となる可能性は低いですが、車両異常が検知されています。速度を抑えて安全運転を心がけ、速やかにディーラーや整備工場へ移動して点検を受けてください。
赤色の点灯・点滅(警告・危険)
重大な不具合が発生しています。安全な場所(路肩やパーキング)へ直ちに停車し、エンジンを止めてロードサービスやレッカーを手配してください。
Q2. エンジン警告灯が点灯したまま車検を受けられますか?
結論
車検には合格できません。
規定の背景
2017年2月の保安基準改正により、エンジン警告灯やABS警告灯などが点灯・点滅した状態では、検査ラインへの進入・受検自体が拒否される規定となっています。事前に整備を行い、警告灯を消灯させる必要があります。
Q3. 警告灯がついたり消えたりするのはなぜですか?
主な原因
センサーの接触不良、配線が切れかけている状態、または部品故障の初期段階で「正常値」と「異常値」を往復しているケースが考えられます。
点検が必要な理由
一時的に表示が消えても、車両のコンピュータ(ECU)には不具合履歴(エラーコード)が記憶されています。根本原因が解決したわけではないため、放置すると突然の走行不能や重大な故障に繋がります。
Q4. エンジン警告灯を自分でリセットする方法はありますか?
自己リセットの危険性
自身での消灯操作は厳禁です。 簡易診断機(OBD2スキャナー)やバッテリー脱着で表示をリセットできても、不具合の原因自体は残ったままになります。
放置時のリスク
警告を隠したまま走行を続けると、エンジンの焼き付きや排ガス浄化装置の破損を招き、数十万円単位の高額な修理費用に発展する恐れがあります。
Q5. 警告灯が点灯してから何キロまで走行できますか?
黄色点灯時の走行目安
「〇〇kmまで走行可能」という明確な数値基準はありません。最寄りの整備工場や自宅までの最低限の移動(数十km程度)にとどめ、高速道路の利用や長距離移動は避けてください。
赤色点灯時の走行目安
走行可能距離は「0km」です。
直ちに安全な場所へ停車してください。
走行継続による二次被害
無理な走行を続けると、燃料の不完全燃焼によって排ガス浄化装置(DPFや触媒)を溶損させたり、エンジン本体を破損させたりするリスクが生じます。
